エレベーターの安全確保について【部品・機器の交換基準】
戸開走行保護装置の設置がなされていないエレベーターの所有者・管理者の皆様へ
より一層、安心・安全で永続的にエレベーターをご利用いただくためには、メーカー保守点検や修繕工事が適宜必要となります。また、エレベーターを構成する機器・装置については各々に交換の基準や交換を必要とする目安が定められています。
定期的な予防保全メンテナンスをおこなって頂いているエレベーターに比べ、メンテナンスが不十分な場合、エレベーターの性能劣化が早まり、短期間に限界性能が低下し、不具合や重大故障を誘発する原因となりますので機器・部品の交換基準、交換の目安をご参照いただき計画的な保全工事を行なっていただきますようお願い申し上げます。
なお、本掲載は戸開走行保護装置の設置がなされていないエレベーターの機器・部品の交換基準を明示させていただいて居ります。
戸開走行保護装置(UCMP)が設置されているエレベーターについてはお手元の取扱説明書をご覧ください。
★戸開走行保護装置について
平成18年6月3日に東京都港区にて発生したエレベーター事故を受け、エレベーターの駆動装置や制御機器に故障が生じた場合に、かご及び昇降路のすべてを制止する安全装置の設置が義務付けられました。エレベーターの扉が開いたまま走行してしまう『戸開走行』は、挟まれ事故など人命に関わる重大なトラブルにつながります。法改正により駆動装置故障対応として戸開走行を検出してエレベーターを制止する安全回路を別回路とする『戸開走行保護装置』の設置が義務づけられました。
◎印のついた項目は経時的に劣化する部品です
(記載の『交換目安』の周期に則った定期的な交換が必要です)
★印のついた項目は弊社指定品をご使用ください
※各交換項目はエレベーターを維持・管理するにあたり部品交換が発生すると予測される機器・部品です
※設置環境や使用状況により交換時期が早まり、記載項目以外にも交換が必要な機器・部品が発生します
※交換目安は一般的な交換時期であり個々の機器の寿命を保証するものではありません
※主要機器・部品等の供給期間は引き渡し後、およそ10年を目安としていますが、機器・部品によっては長期間の供給が出来ないものや、代替品や当初納入品と意匠が異なる場合がありますのであらかじめご了承ください
●油圧式エレベーター使用部品の交換基準
機器名 | 交換項目 | 交換の基準 | 交換の目安 |
---|---|---|---|
油圧 ユニット | 油侵モーター | モーター絶縁が2MΩ以下の場合 | 15年~20年 |
ポンプ | 異常振動・異常音発生または定格速度が92%未満の場合 | 15年~20年 | |
★制御バルブ | 油漏れ発生 | 10年~15年 | |
◎ハウジング形管継手 | 油漏れ発生 | 7年~10年 | |
◎高圧ゴムホース | 使用年数10年または油漏れが発生した時 | 7年~10年 | |
◎作動油 | 異臭の発生または成分分析結果油汚れが激しい時 | 7年~12年 | |
シリンダー | シリンダー本体 | プランジャー面の傷によるオイル漏れが激しい時 | |
◎シリンダーパッキン | 異常振動・異常音発生または油漏れが発生した時 | 5年~10年 | |
そらせ車 | ベアリング | 異常振動・異常音発生 | 20年 |
ロープ | 主ロープ | 破断、摩耗及びさびが発生した時 | 10年~15年 |
調速機ロープ | 破断及びさびが発生した時 | 15年~20年 | |
調速機 | 調速機本体 | ベアリング異常振動・異常音発生 | |
レールガイド | かごガイドシュー | レール外れ止めとレールの隙間が1mmに達した時 | 7年~10年 |
シリンダーガイドシュー | レール外れ止めとレールの隙間が1mmに達した時 | 15年~20年 | |
制御盤 | ◎主回路電解コンデンサー | 発熱、変色他 | 8年~13年 |
◎非常通話用(インターホン)バッテリー | 使用年数3年 | 3年 | |
◎非常電源用バッテリー | 使用年数3年 | 3年 | |
◎電子回路用電源 | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8~12年 | |
★電磁接触器 | 電気的寿命(100万回)に達した時、または使用年数10年 | 10年 | |
中継リレー | 電気的寿命(500万回)に達した時、または使用年数10年 | 10年 | |
◎電子バルブコントローラ | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8~12年 | |
◎プログラマブルコントローラ | 使用年数7年(設置環境により異なります) | 8~12年 | |
◎コントローラメモリバッテリー | 使用年数5年 | 5年 | |
位置センサー | ★馬蹄型光電スイッチ | 使用年数15年 | 15年 |
ドア | ◎ドアコントローラ | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8~10年 |
★乗場ドアスイッチ(ロックASS'Y) | 横扉:電気的寿命に達した時、上扉:異常音が発生した時 | 3年~20年 | |
★かごドアスイッチ | 電気的寿命に達した時 | 15年~20年 | |
エンコーダ(横扉) | 機械的寿命に達した時 | 10年~15年 | |
ドアハンガー(横扉) | ベアリング異常振動・異常音が発生した時 | 7年~10年 | |
ドアシュー | シューが磨耗した時 | 5年~7年 | |
ドアウェートシュー(上扉) | シューが磨耗した時 | 2年~3年 | |
ドア駆動ベルト(横扉) | 磨耗、亀裂等が顕著に発生した時 | 5年~7年 |
●ロープ式エレベーター使用部品の交換基準
機器名 | 交換項目 | 交換の基準 | 交換の目安 |
---|---|---|---|
巻上機 | ★巻上機本体 | 使用年数20年 | |
ベアリング | 異常振動・異常音発生および10万時間に達したとき | 20年~25年 | |
オイルシール | 油漏れ発生 | 5年~7年 | |
エンコーダ | 通電8万時間に達したとき | 8年~9年 | |
ブレーキ | ★ブレーキパッド | 摩耗量が規定値に達したとき | |
★マイクロスイッチ | 電気的寿命(500万回)に達したとき | 16年~20年 | |
綱車 | 綱車 | 摩耗量が規定値に達したとき | |
そらせ車 | ベアリング | 異常振動・異常音発生および10万時間に達したとき | 20年~25年 |
ロープ | 主ロープ | 破断、摩耗及びさびが発生したとき | 5年~7年 |
調速機ロープ | 破断及びさびが発生したとき | ||
調速機 | 本体 | ベアリング異常振動・異常音発生 | 15年~20年 |
レールガイド | かごガイドシュー | レール外れ止めとレールの隙間が1mmに達したとき | 7年~10年 |
カウンターガイドシュー | レール外れ止めとレールの隙間が1mmに達したとき | 15年~20年 | |
制御盤 | ◎主回路電解コンデンサー | 発熱、変色他 | 8年~13年 |
◎非常通話用(インターホン)バッテリー | 使用年数3年 | 3年 | |
◎非常電源用バッテリー | 使用年数3年 | 3年 | |
◎電子回路用電源 | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8年~12年 | |
◎インバータ | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8年~12年 | |
◎インバータ冷却ファン | 使用年数3年 | 3年 | |
◎制御盤ファン | 使用年数3年 | 3年 | |
★電磁接触器 | 電気的寿命(200万回)に達したとき | 8年~16年 | |
中継リレー | 電気的寿命(500万回)に達したとき | 16年~20年 | |
使用年数10年(設置環境により異なります) | 10年~12年 | ||
位置センサー | ★馬蹄型光電スイッチ | 使用年数15年 | 15年 |
ドア | ◎ドアコントローラ | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 8年~12年 |
◎遮煙材 | 使用年数5年 | 5年 | |
★乗場ドアスイッチ(ロックアッシー) | 電気的寿命(1000万回)に達したとき | 20年~25年 | |
★かごドアスイッチ | 電気的寿命(1000万回)に達したとき | 20年~25年 | |
エンコーダ | 機械的寿命に達したとき | 8年~12年 | |
ドアハンガー | ベアリング異常振動・異常音が発生したとき | 5年~7年 | |
ドアシュー | シューが摩耗したとき | 5年~7年 | |
ドア駆動ベルト | 摩耗、亀裂等が顕著に発生したとき | 5年~7年 | |
ドア連動ロープ | ロープにキンク、素線切れが見受けられた時 | 3年~5年 | |
戸開走行判定装置 | ★セーフティーリレー | 電気的寿命(500万回)に達したとき | 16年~20年 |
★プログラマブルコントローラ | 使用年数10年(設置環境により異なります) | 10年~12年 | |
★コントローラメモリバッテリー | 使用年数5年 | 5年 |